本学科の千葉先生が参加している「山形市きこえくっきり事業」をご紹介していきます。
まず今回は,事業の紹介に先んじて,難聴についての豆知識を千葉先生が解説してくださいました.
高齢者の難聴と認知機能低下について
人間は加齢によって聴力が低下してしまうのですが(小さい音や言葉がきこえにくくなってくる)、70歳代男性で5人に1人、女性で10人に1人が日常生活に支障のある難聴者と推測されています1)。また、高齢者の難聴は認知機能低下と強く関連するといった報告もあります2)。
参考文献
1) 内田育恵ら:全国高齢難聴者数推計と 10 年後の年齢別難聴発症率 ―老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)より.日本老年医学会雑誌 49:222-227,2012
2) Naoki S, et al., Hearing impairment is associated with cognitive function in community-dwelling older adults: A cross-sectional study. Arch Gerontol Geriatr. 2021 Mar-Apr; 93:104302.
難聴によってQOLが低下する恐れがでてくる
難聴になると日常生活に様々な支障をきたします。家族や周囲の方とうまくコミュニケーションがとれないために自信がなくなったり、お買い物や会合への出席といった外出機会も減ってきたりすることで社会的に孤立してしまい自宅に閉じこもりがちになってしまいます。このように、以前は楽しくできていたことが難聴によって楽しめなくなってしまいQOL(Quality of life:生活の質)が低下してきてしまう恐れがでてくるのです。また最近ではこのような状態を「ヒアリングフレイル」という言葉で表現されようになってきました。
次回は,事業の紹介をしていきます.
千葉先生,ありがとうございました.
STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です.Speech-Language- Hearing Therapistsの略です.
新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報より ST kouhouがお送りしました.