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2016.06.26

見えるのに見えない?~内山先生に聞いてみよう!〈視覚失認〉

こんにちは、STkouhouです!

今回も高次脳機能障害の研究がご専門の内山先生に不思議な症状について教えてもらいましょう。

今回は「視覚失認」です。
見えない・・・と言えば、一般的には「目が見えない」をイメージしますよね。
いわゆる視覚障害の人たちです。
でも、脳にアクシデントが起きると、「目が見えているに見えない」という症状がおきます。

この「見えない」人たちを支援するのは言語聴覚士の仕事です。

では、内山先生、視覚失認について教えてください!



Q1.6月24日のブログでは、「聞こえるけど聞こえない」という不思議な症状「聴覚失認」を教えていただきました。
見えるけど見えないという症状もあるのですよね。それはどのような症状ですか?


内山:前回お話しした聴覚失認は「聞こえているにもかかわらず、その聞いた音が何だかわからない」という症状でした。
これと似ていますが「物が見えているにもかかわらず、その見ている物がなんだかわからない」という症状を視覚失認といいます。
例えば目の前に何かがあることは分かるのですが、目で見ただけではその物の名前を言ったり、何に使う物か説明したりすることができません。
しかし、その物に触ったり、音を聞いたりすれば、その物が何であるかがすぐに分かります。

聴覚失認の人たちにはものがこのように見えています。
見えているものが何なのかわからなくなってしまいます。

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Q2.
視覚失認と、いわゆる視力障害や視覚障害とはどのように違うのですか?

 
内山:視覚失認は目の病気ではなく、脳の病気によって生じます。
視力や視野は基本的に保たれているにもかかわらず、見た物が何だかわからない、認知できないという症状であり、いわゆる視覚障害とは区別されます。
そのため眼鏡やコンタクトレンズを使用しても「見ている物が何だかわからないという症状」は改善されません。

 

Q3.「見えない」と訴える患者さんなのに、眼科で治療せずに言語聴覚士がリハビリテーションを行うのはなぜですか?

内山:視覚障害の場合、眼科医の指示に基づいて視能訓練士がリハビリテーションを行うことが多いと思います。
一方、視覚失認や聴覚失認のように脳の病気によって生じる認知機能の障害を高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害の場合、リハビリテーション科医、神経内科医、脳外科医、精神科医などの指示に基づいたリハビリテーションが行われます。
高次脳機能障害のリハビリテーションには様々な職種が関わりますが、中でも言語聴覚士は中心的な役割を担うことが期待されています。



 

Q4.聴覚失認や視覚失認について言語聴覚学科ではどのように学ぶのですか?
 

内山:言語聴覚学科ではまず脳の構造・機能について学びます。
また、聴覚失認や視覚失認といった高次脳機能障害の症状とメカニズムについて学ぶとともに、個々の症状の検査法とリハビリテーションについても学びます。
言語聴覚学科というと「聞くこと」「話すこと」というイメージが強いかと思いますが、「見ること(見たものを認知すること)」についても学ぶ機会があります。

最後に余談ですが、言語聴覚士国家試験では視覚失認に関する問題が毎年のように出題されています。




内山先生、どうもありがとうございました。
言語聴覚士の国家資格試験に出題されるほどに視覚失認の知識は重要なのですね。




内山ゼミの様子。言語聴覚学科では1年次から4年次まで少人数でのゼミ活動を行っています。

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言語聴覚学科のゼミはこちら→http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/st/seminar.html





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