こんにちは。
落合先生に飲み込みのリハビリについて聞きました!
落合先生は飲み込み(嚥下)の研究をされています.
先生の紹介はこちらからどうぞ
摂食嚥下障害って何?
私たちは、口から食べものや飲み物を摂取することで、生きていくために必要不可欠な栄養や水分を身体の中に取り込みます。それと同時に、「食べる」という行為は、味わうことはもちろん、食卓を囲むことで親交や関係性を深めていく側面を持っており、人生にとっての「楽しみ」としての役割を果たします。食物を口まで運搬し、口の中で飲み込みやすいように処理をされて、飲み込むまでの一連の「食べる」過程は「摂食」と表現され、食物を飲み込むことを「嚥下」と言います。こういった「摂食・嚥下」という言葉で表現される「食べる」という行為は、種々の病気や障害によって損なわれ、口から食べる楽しみが制限される状態を「摂食嚥下障害」と言います。摂食嚥下障害は、脳卒中(脳梗塞など)や、頭頚部腫瘍(喉や口のがん)をはじめ、様々な原因により食べる機能に関わる筋肉や、神経が損傷されることで生じます。
摂食嚥下障害の代表的な症状は、本来食道や胃に移送される食物が誤って、気管や肺に入ってしまう病態である「誤嚥・窒息」です。「誤嚥」を繰り返すことで、肺や気管支の炎症が生じ「誤嚥性肺炎」を発症される高齢者の方は多く、日本人の死因の6位(2022年度)となっています。また、「食べる」行為が障害されるため、低栄養が生じ高齢者の健康的な生活を脅かす障害です。そのため、摂食嚥下障害のリハビリテーションにおける専門家として、今、言語聴覚士が求められています。
STが行う嚥下支援とは?
言語聴覚士は、乳幼児から超高齢者まで幅広い年齢層を対象に、救急病院から在宅や地域で生活をされている方々まで、摂食嚥下障害のある方の支援を行います。現場では、摂食嚥下障害の有無を判定するためのスクリーニング検査や、食事場面の観察評価を実施し、必要に応じて飲み込みの様子を詳細に観察するための画像検査を、他職種と連携をして行います。
評価・検査で、飲み込みのどのような過程に問題があるのかを明らかにして、対象児・者のリハビリテーションを行います。どこに問題があるのかを探っていく過程は、探偵さながらに展開をしていきます。
言語聴覚士は食べる・話すの専門家として様々なフィールドにおける摂食嚥下障害の支援を強く期待されています。
実際の支援は、耳鼻咽喉科や神経内科をはじめとした様々な診療科の医師、歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師など様々な専門職種と共にチームアプローチで進めます。
喉や舌などの飲み込みに関係する筋肉のトレーニングと共に、安全で食べやすい食事形態や、誤嚥を防ぐ姿勢や手技を検討し、患者さんや家族と共に「食べる」訓練を行います。
食べることが難しくなった患者さんが、リハビリテーションにより再び口から食べる喜びと尊厳を取り戻す過程に立ち会えるのは、何よりも嬉しい瞬間です。
出張講義の感触は?
飲み込みの仕組みについてお伝えし、実際に嚥下障害の方が飲み込みやすいように「とろみ」をつけた飲み物を飲んで、体験をしてもらいました。ほかにも飲み込みの時の音を聴診器で聞いたり、はじめて見る検査・訓練機器を珍しそうに関心を持って聞いて下さる姿が印象的でした。このほかにも、小児・成人のコミュニケーションや、聞こえや飲み込みに関する様々な検査・訓練機器が、本学の言語聴覚学科にはたくさんあるので、いろいろと触れて体験をして頂きたいです。
在学生・高校生へメッセージ
言語聴覚士は「話す」「聞く」「食べる」といった、人の尊厳に関わる営みが不幸にも絶たれてしまった対象者の方が、その人らしさを取り戻す過程をお手伝いします。
その過程には言語聴覚障害学だけでなく、医学、心理学、社会学など様々な知見が用いられ、人生100年時代の長い職業人生において個々の歩みで、「自分らしい支援」を探求していけるとても魅力的な仕事です。
多くの方が、言語聴覚士の支援を求めて下さっていますが、まだまだ支援を届けられていない方が沢山いらっしゃいます。
皆さんも、言語聴覚士を目指してみませんか?
落合先生,ありがとうございます.
他分野で臨床経験も最先端の研究経験もお持ちの先生がいる新潟医療福祉大学言語聴覚学科で一緒に学びませんか?
STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です。Speech-Language- Hearing Therapistsの略です。
新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報より ST kouhouがお送りしました。