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2024.07.18

いろいろな方々との出会いで難聴児者の力になりますー聴覚支援チームの一員としてのSTー

言語聴覚士(ST)は聾学校と連携して支援を行うこともあります.

聾学校との連携に従事されている桒原先生にインタビューしました.

聾学校について教えてください.

新潟県には県立の聾学校が2つありました.

新潟県は縦に長い県なので北の下越地区のための新潟聾学校と南の上越・中越地区のための長岡聾学校です.

新潟聾学校は,令和4年4月によつば学園のろう教育部門になりました.新潟盲学校も合併してよつば学園のもう教育部門となり,それに自立教育部門も備える大きな学校となりました.よつば学園は新潟市にあるので,遠い村上市や新発田市,佐渡市や粟島浦村などから来る児童,生徒のために寮もあります.寮では寮にいる先生から日本手話を習ったりします.寮の日常生活の中で音声言語も日本手話も学び,覚えることができます.

聾学校の文化祭や体育祭にもお邪魔します.これは長岡聾学校の文化祭の様子です.幼稚部になるといろいろなことを学び,保護者と一緒にこんなに素晴らしい作品を作ります.3人とも人工内耳装用児です.

どのように連携しているのですか?

よつば学園のろう教育部門と長岡聾学校の児童,生徒,ほぼ全員が新潟大学医歯学総合病院の耳鼻科に来ています.まだ言語聴覚士が国家資格になる50年くらい前から新潟聾学校,長岡聾学校と大学病院は深いつながりがありました.そのため,新潟医療福祉大学が最初にできたときは,そのつながりから耳鼻科の先生たちも言語聴覚学科の設立に大きく関わってくださいました.その頃から今もカンファレンスは聾学校の先生方と耳鼻科の医師たちで行っています.

カンファレンスとは,多職種で行う会議で,様々な児童や生徒の支援方針を決めたり役割分担をします.

日本でも2000年から始まった新生児聴覚検査(NHS)は25年の歴史になろうとしていてびっくりしています.聾学校(聴覚特別支援学校)はその地域で難聴に悩んでいる人たち全員の相談にのる役割があります.そのため,NHSで難聴が発見されたお子さんの保護者は聾学校になんでも相談できるように教育相談を行っています.そういったお子さんやそのご家族を支えるため乳幼児教室を開いてよりきめ細かい指導をすることもしています.私たちSTと耳鼻科医は,医療関係者ですので,難聴の発見と難聴の程度の測定,難聴の原因等を調べ,聾学校に情報を渡します.またSTは聾学校の先生と難聴児たちの言語発達を支える指導について,乳幼児・児童・生徒の毎日の様子を聞き,発達検査等をして,一緒に療育・教育について考えます.そのほかに,聴力検査や補聴器,人工内耳を装用して,良く聞こえているのか調整や検査もします.人工内耳埋め込み術をした乳幼児には月1~2回程度療育もしています.療育の仕方,聴力測定の仕方等,お子さんが戸惑わないようによつば学園と長岡聾学校の先生たちとお互いに情報交換します.親御さんは毎日自分の子供を見ているのでどんな成長があるのか感じにくいことがあるようです.カンファレンスでその成長をお伝えしたり,よつば学園や長岡聾学校の先生たちが困っていらっしゃることの解決策を一緒に見つけたりします.一人一人のお子さんそれぞれに合ったより良い支援をするためには,連携をしているチームメンバーの顔を知っていることはとても大切です.最近はリモートでカンファレンスを行いますが,必ず,顔を合わせてお話しをすることを大切にしています.

海外での聴覚支援

人工内耳は定期的な調整が必要です.フィリピンのサント・トマス大学の短期留学生たちが調整している様子を見学に来ました.聴力検査室でやっています.フィリピンでは埋め込み術も人工内耳の機械も全て自費で支払うので,重度の難聴が見つかっても大金持ちしか人工内耳装用は出来ないそうです.写真の方々は,SLP音声言語療法士,OT作業療法士になろうと勉強している学生さんです.人工内耳のマッピングを熱心に見学してくださいました.

在学生・高校生へメッセージ

聴覚分野は難しいと言われ,嫌われがちです.しかし,耳鼻科や小児科,産科のお医者さんたち,補聴器・人工内耳の業者や販売の方々,聾学校の先生方と心を通わせ,一人一人の難聴児者に寄り添う,とても素晴らしい仕事です.

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桒原先生ありがとうございました.

言語聴覚士は,医療,教育,福祉さまざまな場で活躍しています.

みなさんも,言語の専門家になりませんか?

STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です.Speech-Language- Hearing Therapistsの略です.

新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報ST Kouhouよりお届けしました.

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