こんにちは.先日放送されたドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』,もうご覧になられましたか?
主人公の仕事である「手話通訳士」とは,ろう者の手話を日本語に通訳したり,聴者の日本語を手話に通訳する仕事です.手話の通訳を通して,ろう者と聴者の間のコミュニケーションを支援します.
そのためドラマでは,手話を使うシーンがたくさんありました.また,主人公は,CODA(ろう者のもとに生まれた聞こえる子ども)という設定でした.
本学科には手話の研究をされている先生,聴覚系の研究をされている先生,CODA(ろう者のもとに生まれた聞こえる子ども)にお詳しい先生がいらっしゃるので,ドラマを見た後に質疑応答をお願いしてみました.
今回は,すでに放送された前編を受けて,
聴覚支援の研究をされている千葉寛之先生が手話の研究をされている伊藤さゆり先生にろう文化について質問されました.
千葉先生
医療機関で聴覚支援をしてきましたが,「ろう」の方や手話を使う方とは仕事でも私生活でも交流がありませんでした.私を含めた日本語話者の中には,ドラマの中で「ろう者」が書字言語を使わなかった背景が理解しにくい方もいると思います.「ろう者」と書字言語について教えてください.
伊藤先生
ろう者の方の書記言語の習得には,個人差が大きいようです.手話と日本語は文法や語彙が異なる部分が多いため,ろう者の方にとって日本語の読み書き能力は意識しないとなかなか身につかず,その結果個人差が広がるようです.特に複雑な内容の伝達となると,文字よりも手話の方が内容を理解しやすいという声はよく聞かれます.
要約筆記というコミュニケーション支援方法もありますが,要約筆記は話の内容の要点を文字にしてお伝えすることです.ろう者にとっては上記と同じ理由で,要点筆記よりも手話通訳の方が適切な場合が多いです.
千葉先生
そうすると,音声ー文字変換アプリはあまり使われないのでしょうか?
伊藤先生
アプリは昨年ヒットしたドラマ「Silent」でも使われていましたね.若い方は積極的に使っている方が多いようですが,年配の方などスマホの使用に不慣れな方ですと,あまり使われていないようです.
次の土曜日に後編も放送予定です.
楽しみですね.
STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です.Speech-Language- Hearing Therapistsの略です.
新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報より ST kouhouがお送りしました.