こんにちは、乙女でございます
今日は疾病や障がいのお話のつづきをしたいと思います。
今日のテーマは「FTLD」です
FTLD(Frontotemporal Lober Degenration) とは、前頭側頭葉変性症のことで、認知症の原因となる進行性の変性疾患のことです。
FTLDは認知症で最も多いアルツハイマー病に比べると若年の方に多いのが特徴です。
アルツハイマー病では初期には海馬とよばれる記憶を司る部分や頭頂葉と呼ばれる脳の後方部分の障がいを受けるため、
物忘れや空間把握がしにくくなりますが、FTLDでは脳の前方部分が障がいを受けるため、物忘れはさほど目立ちません。
ところが、アルツハイマー病と比較して、人格や行動の変化が著しく、
社会生活に大きな支障をきたすことが問題となっています。
脳の前方部分では、意欲、計画、行動の抑制の制御などを行う機能があります。
この機能が障がいを受けることによって自分を客観的に認識できず、
衝動も抑えられずに我が道を行くという行動をとってしまうことがあります。
しばしば、車の運転などでも信号無視や逆走など規範が守れないという問題が起こることがあります。
また、偏食や会話が決まったフレーズ通りに話す、どんな場合でも時刻表のような行動をするなど、
他人が理解しがたい様な同じ行動パターンを淡々と儀式的に繰り返す行動も問題となることがあります。
さて、言語中枢の多くは左半球にありますが、「ことばを産生する機能」の中枢は左前頭葉にあることが通常です。
言語聴覚士が日常で出会う患者さんの中にも認知症の方、特にFTLDが原因でことばが話せなくなっている人や
社会とのコミュニケーションがとれないといった患者さんが数多くいます。
FTLDはアルツハイマー病に比べて社会的認知度がまだまだ低く、
患者さんの年齢も若く、社会的に大きな問題になりやすい疾患です。
正しい理解を持っておきたいですね