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2022.05.24

【続編】飲み込みづらい?よくむせる?それって・・・~嚥下リハビリのプロ監修~②

こんにちは。ST kouhouです。

STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です。Speech-Language-Hearing Therapistsの略です。

新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報よりお届けします。

今回は,前回の続編です。前回は,

  • 誤嚥性肺炎は死因の上位
  • むせのメカニズム・心配な方は,何科にいけばいいの?

というお話をしました。復習はこちらからどうぞ。

今回は,

嚥下障害も予防できます。

という、テーマです。

前回お話したように,「飲み込み」も運動です。なので、鍛えることができるのです。

脚の筋肉を鍛えて転倒予防をするように,嚥下機能を鍛えて誤嚥を予防できます。

これから,嚥下機能を鍛える方法をいくつかお教えしようと思います。

まず,前回の復習ですが,飲み込み運動には,口の中も働きます。(そのため,歯科でも評価・訓練している場合があるのでしたね?→前回記事のリンク)その他には,のどの奥の方も働きます。誤嚥を防ぐには,呼吸機能も重要です。それでは,順番に紹介していきます。

・発音練習

口腔をしっかり同時に運動させることにより,スムーズな飲み込みにつながります。試しに,口を開けたまま唾を飲んでみてください。上手く飲めませんよね?

発音するのも,食べ物をまとめゴクッと飲み込む助けをするのも,同じ舌と口蓋(お口の天井)の共同作業です。正確に明瞭に発音できると,飲み込みやすい食塊(食べ物のかたまり)を作り送り込む能力も養われます。

そして,声を出すことによって,誤嚥防止のために咳をする(正しくむせる)時の呼気圧も高められます。のご時世行きづらいかもしれませんが,カラオケで思いっきり歌うのも,上記のような理由で嚥下機能も鍛えられます。 また,リハビリなどでは,発音のための器官を個別に鍛えることもあります。

例えば,こちらのイラストのように,舌の筋トレもしますよ。

・息を強くはく運動

子どもの頃に遊びましたかね?吹き戻し(ピロピロ笛)です。この笛を吹くのは,結構難しいのですよね。口をしっかりと閉めて,鼻から息を漏らさないようにして一気に吹く必要があるのです。これで鍛えられるのは肺活量だけでなく,のどの奥にも効果があります。実はのどの奥の運動も,飲み込み運動に重要なのです。そのため,ピロピロ笛を吹く練習が,飲み込みのトレーニングになります。ピロピロ笛が難しければ,ティッシュをしっかりと吹く運動も同じ訓練対象の運動となります。

・のど仏周辺の運動

このイラストは,「おでこ体操」というものですが,飲み込み運動の要ともいえるのど仏周囲の筋トレです。のど仏に優しく触れながら唾をのみ込んでみてください。のど仏が上下に動いたと思います。(動かなかったら,要注意ですよ。)のど仏が上下に動くことにより,正しいルートに食塊が進みます。(復習はこちら)この,のど仏の上下運動で使用する筋を鍛えるのです。

方法は以下の通りです。

  • 手を,おでこにしっかり当て,手の付け根でおでこと押し合います。
  • 顎を引き,ヘソを覗き込むように深く頷くように,おでこで手を押します。
  • のど仏周辺に力が入るように,5秒キープします。

*首に病気がある方や血圧が高い方は,いずれの運動も事前に主治医に確認してくださいね。

飲み込みに不安がある人も,まだ心配していない方も,嚥下機能を鍛えて楽しく元気に末永く食事を楽しみましょう。

最後に,嚥下の難易度は高めですが,本学のランチのおすすめの一つ,カムフレンズのランチパックの写真です。

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