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2021.12.31

医療情報管理学科の3年生のゼミにお邪魔しました!ー療養病棟における中心静脈栄養の位置づけを学ぶー

言語聴覚学科3年生の大沢亜美です。

医療情報管理学科の3年生の方と,長期入院している高齢患者さんの中心静脈栄養について議論する機会がありました。

言語聴覚士は,こうした患者さんに対して中心静脈栄養を脱し経口摂取を可能にするために,さまざまな評価・訓練を実施していますが,医療情報管理学科の皆さんから,摂食・嚥下障害の訓練が病院経営に大きく影響することを教えていただきました(詳しくは,医療情報管理学科のブログ記事をご覧ください!)

中心静脈栄養とは,心臓に最も近く太い静脈である中心静脈から栄養を投与する方法です.拒食や飲み込みの機能の低下といった摂食・嚥下障害によって,経口摂取ができない期間が長期にわたる場合に実施されます.

私はこの秋,学外の施設で3週間の評価実習を行いました.その実習中に中心静脈栄養を実施されている患者さんにお会いしました.その方は摂食・嚥下障害に加え意識障害もある方でしたので詳しい評価は困難でした.そのため口腔ケアを主としたリハビリが実施されていました.口腔ケアでは,ごく少量の水分を含ませたガーゼや,スポンジやブラシなどのついた短い棒を使用して,口腔内を湿らせながら少しずつ汚れを除去していきます.口腔内を清潔にすることで口腔内の機能を維持し,経口摂取訓練へとつなげていきます.

多くの場合,摂食・嚥下障害のある患者さんには,口の粗大な動きや発音のテスト,唾液や少量の食べ物をのみこむテストを行って,経口摂取の機能を総合的に評価します.患者さんの状態によっては,内視鏡やレントゲンを用いた評価も必要になってきます.

嚥下機能の評価では,舌圧子(左)というアイス棒のような器具で口腔内の運動機能を評価したり,聴診器(右)で嚥下時の咽頭の音を聞いて咽頭・喉頭の機能を評価することもあります.

誤嚥のリスクの大きい患者さんには,口腔顔面の運動や口腔内の刺激など,食べ物を使わない訓練から開始します.経口摂取が可能になった患者さんでは,ゼリーやプリンなどを少量摂取する訓練から始めます.水分は形がない分,咽頭にすばやく入り込んで誤嚥しやすいので,とろみをつけて少量ずつ摂取する訓練を行います.

水分嚥下に使用するとろみ剤
水分をゼリー状に変化させるものもあります.

これまで摂食・嚥下障害のメカニズムや口腔ケアの意義などは学んできましたが,療養病棟における医療区分や中心静脈栄養の位置づけなど,詳しい保険制度について知りませんでした.

摂食・嚥下機能の改善が,患者さん・医療施設側,双方にとって不利益とならないように制度が改善されると良いと思います.また言語聴覚士も,保険制度の問題点に敏感になる必要があることを学びました.

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