こんにちは。STkouhouです。
4月に言語聴覚学科 合同研究室に着任されました伊藤さゆり先生をご紹介します。
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Q1. これまでの経歴を教えてください
長野、東京、埼玉の3つの病院にあわせて7年ほど勤務していました。
主に脳卒中の患者さんを対象にコミュニケーションや飲み込みの障害のリハビリテーションに携わりました。
その後は、イギリスの大学院で修士号を取得し、さらに山形大学の博士課程に進み、認知症の新たな検査手法に関する研究を進めるとともに、山形や仙台の病院で記憶や言語の検査を行う仕事をしてきました。
Q2. 言語聴覚士を目指した理由は
高校生の頃に脳の機能について関心を持ちました。当時のNHKで放送された「脳と心」のなかで、記憶障害の患者さんが紹介されたのです。
その患者さんは弁護士を志望する優秀な青年だったのですが、脳の病気により新しいことが覚えられなくなり、人生が一変してしまいました。さらに彼は、日々の出来事を口述して録音したものを聞き返す工夫をしていること、残された脳機能を利用して家具職人を目指していることも紹介されました。
このように人の人生を大きく変えてしまう記憶と脳の問題についてもっと学びたいと思ったのです。 こういった脳の損傷が、人間の行動にどのように影響するのかを検証するのは『神経心理学』という学問になります。 ただし当時の私はそのキーワードにたどり着けず、とにかく少しでも近い学問を、ということで大学では心理学を専攻しました。
しかし当時大学で学んだのは人以外の動物や、健常な人を対象とした学問が主でした。そして、自分が本当に勉強したいのは神経心理学であること、神経心理学をもっと学ぶにはやはり患者さんを対象としなければならないことがわかってきました。
ちょうどその頃に、言語聴覚士が国家資格になるというニュースがあったのです。実際に障害を持った患者さんを通して脳の機能への理解を深められる上、その関心を社会貢献にも活かせる、素晴らしい仕事だと思い、この世界に入りました。
Q3. 研究内容を教えてください
認知症というと記憶力が低下する、いわゆる物忘れが生じることがよく知られていますが、言葉がスムーズに出なくなったり、見え方が変わったり、といった、記憶以外の症状が前面に出てくるタイプの認知症があります。そういった患者さんの障害のメカニズムや評価方法、リハビリ方法の研究をしています。
Q4. 言語聴覚士の魅力とは
最初は脳の機能への関心から入った世界でしたが、今では関心もさることながら、患者さんとの関わりに魅力を感じています。
特にコミュニケーションに障害を持つ患者さんが、時間をかけてご自分の気持ちを伝えることができて喜ぶ姿に、やりがいを感じます。この世界に入ってしばらくたちますが、今でも新鮮な気持ちになる瞬間です。
Q5. 言語聴覚士を目指す高校生へのメッセージ
言語聴覚士の仕事は、同じことの繰り返しではなく、日々勉強することで成長し続けられる魅力的な仕事だと思います。
言語聴覚士の数はまだまだ不足しています。ぜひ一緒に学び明日のリハビリテーションを担っていきましょう!
伊藤先生ありがとうございました!
実は伊藤先生は某ゆるキャラのファンです。お好きな方はぜひゆるキャラトークもしてみてください。