こんにちは、海馬です
広島に行った理由は、富士山の写真を撮ったり、お好み焼きを食べるためでは決してありません(苦笑)
前後しましたが、今日は研修会の真面目な話を少ししたいと思います。
会場は、広島国際大学広島キャンパス。
都会に佇む、立派な建物でした。
2つの講義がありました。そのうちの一つを今日はご紹介します。
講師は、三重大学医学部 認知症医学講座 准教授の佐藤正之先生です。
「神経疾患と音楽療法 ~失語と認知症を中心に~」というテーマでご講義くださいました。
ユーモアを交えられながら、実直なお話をお聞かせくださいました。
佐藤先生は、もともとは相愛大学音楽学部に音大生として学ばれてご卒業された、医師としては珍しい経歴をお持ちです。ビオラを演奏される音楽家でもいらっしゃいます。その後、社会人(高校教諭)を経て、三重大学医学部に入学され、現在、神経内科医としてご活躍中です。
さて、言語聴覚士は音楽療法自体は専門的に行うわけではないのですが、言語治療の一種に昔からよく知られているMIT(Melodic Intonation Therapy)は、1973年にAlbertらが開発した治療法です。運動性失語に有効とされていて、大脳の右半球が関与する非言語的要素であるリズムやアクセント、イントネーションを利用し、脳卒中で損傷を受けた左半球が関与する言語の障害(失語症)を改善しようとするものです。ある意味、音楽療法であるともいえます。
佐藤先生から、MIT日本語版(もともとは関啓子先生らが1983年に作成)について、今回ご講義をいただきました。エビデンスを示されながら、その有効性についてお話しくださいました。
Youtubeで英語ですがMITの例が視聴できますので、ご覧ください。リズムやイントネーションを用いながら、ハミングして斉唱したり復唱したり負荷を少しずつかけながら自発話を導いているのが、仮に英語がわからなくても感じとっていただけると思います。
YouTube: Melodic Intonation Therapy Example
YouTube: Melodic Intonation Therapy clip
さて、佐藤先生からは、認知症に対する音楽療法についてもご講義いただきました。
認知症予防に関しては、御浜(みはま)・紀宝(きほう)プロジェクトの研究結果をご紹介されながら、運動(体操)がとても効果的で、音楽がついた運動はさらに脳(認知機能)に良いとの知見についてご説明くださいました。
NHKのラジオ体操は、脳と身体に大変良いというお話でした。
今回の研修会と似たような内容が、Youtubeの慶應義塾大学大学院のチャンネルで紹介されていました。MITではなく音楽療法に重点が置かれた講義構成となっているようです。1時間45分と長めの講義ですが、よろしければぜひご覧ください。
YouTube: 2014/11/23(3) 佐藤正之講師(三重大学准教授) 医療としての音楽療法:認知症を中心に
当言語聴覚学科のページもこちらから、どうぞ。