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2015.06.07

「諦める力」

こんにちは、海馬です


先日、大学図書館の新着図書コーナーで、興味深い本を見つけました!

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「諦める力」 (為末大、プレジデント社、2013年)

「勝てないのは努力が足りないからじゃない」という副題のとおりで、決してネガティブなイメージで諦めることを勧める本ではありません。


「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る」


このように「はじめに」で為末さんは説明しています。

一流選手だからこそ経験した栄光と挫折の世界を踏まえ、為末さんならではの説得力のあることばが宝石箱のように散りばめられています。


第一章では「諦めたくないから諦めた」などと、まるで禅問答のようなタイトルで始まっています。

海馬は大学生のときに、「死ぬのが怖いから自殺した」という人の例を精神病理学の授業で聞いて以来、人間は何と不思議な感覚・考えを持っている生き物なのだろうとずっと考えてきました。


サン=テグジュペリの「星の王子様」ではないですが、人間は不条理な世界で生きていますよね。


不条理な現実の壁にぶち当たったときに、無理に前に進もうとせずに脇道に逸れる、ときにはバック(後退)してみるという柔軟な行動をするのは大切なことなのだと思います。


私たち言語聴覚士が対象とする脳卒中や神経難病等に侵された高齢の患者さんたちのなかには、治ることがなく、むしろ悪化する場合もあります。そのようなときこそ、ある特定のコミュニケーション手段に固執せずに、良い意味で「諦める」ことはとても大切なことです。


「断捨離」が持てはやされるのも、単純に何かを捨てたり諦めたりするからではなく、「本当に必要なこと」が何かを考える良い機会に繋がるからなのだと思います。

「諦める力」は、第6章「自分にとっての幸福とは何か」というタイトルで結ばれています。


何が幸せなのかを考えるうえでも、一度この本を読まれることをお勧めします!

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