こんにちは。ST kouhouです。
STは,言語聴覚士のことで,コミュニケーションとのみ込み(嚥下)を支える医療系国家資格のいる職業です。Speech-Language-Hearing Therapistsの略です。
新潟市北区島見町にある新潟医療福祉大学の言語聴覚学科広報よりお届けします。
先日のInstagramで聴力検査の練習風景が掲載されました。instagramの記事はこちらからどうぞ。
この検査はどれだけ小さな音が聞こえるのかを調べるものですが、装置は耳の後ろについていましたよね。これは骨導聴力検査と言われるものです。
当学科の聴力検査の演習については,こちらの記事をご参照ください。
骨導聴力検査は図に示したように耳の後ろに装置を当てて、蝸牛(かぎゅう、内耳)といわれる音を感じる器官を直接刺激するものです。ですから、外耳や中耳に病気(中耳炎など)があっても、蝸牛に問題がなければ骨導の聞こえに問題はありません。もし、中耳炎などがあったのであれば聞こえは悪くなりますが、中耳炎が治れば聞こえは元通りになります。
骨導がある証拠はいろいろとあります。例えば、理科の授業でよく使った音叉を振動させて「おでこ」にあてても音を聞くことができます(学校などにあったら試してみてください)。おでこに耳はありません。なぜ、音が聞こえるのでしょう。それは「おでこ」の骨から振動が蝸牛に伝えられるからです。また、レコーダに録音された自分の声を聞いたことはありませんか?そのときに、「あれ、私の声ってこれ?」と思いませんでしたか。録音された声は周囲の人全員が聞いているあなたの声です。皆さんのお友達はいつも録音された声を聞いていますが、自分が聞いている声は違いますよね。それは、自分だけが聞いている声があるからです。それが骨導からの声です。
耳の穴(外耳道)から聞く検査を気導聴力検査といい、骨から聞く検査を骨導聴力検査といいますが、この値に差がある場合は外耳や中耳に病気があることを示しています。幼児によくある滲出性中耳炎は高齢者にも多くみられる病気です。耳が詰まった感じになったり(エレベーターや飛行機に乗ったときに感じることがあると思います)、人の声が聞き取りにくくなったかなと感じたら、一度耳鼻咽喉科で聞こえの検査を受けられてはいかがでしょうか。