今年度の卒業研究発表会の様子をお伝えするシリーズ、第7回目は佐藤ゼミの卒業研究発表を紹介します。
佐藤ゼミの卒業研究テーマは下記の通りです。
- 音楽性幻聴の特徴・原因疾患・治療—難聴と中枢神経疾患および精神疾患との関連—
- 上気道狭窄をきたす主要な2喉頭疾患の比較検討―急性喉頭蓋炎と急性声門下喉頭炎(仮性クループ)の病態生理・症状・病因・診断・予後―
- 嗅覚障害の病態および3大原因疾患別の機序と予後―慢性副鼻腔炎による嗅覚障害・感冒後嗅覚障害・外傷性嗅覚障害―
- 上咽頭癌とEpstein-Barr virus(EBV)―上咽頭癌の臨床像とEBV陽性上咽頭癌―
- 耳鳴の分類とメカニズム,耳鳴疾患の臨床統計
ゼミ担当教員の佐藤克郎教授の専門は,耳鼻咽喉科学です.学生の発表も耳鼻科領域に関連するテーマとなっています.
発表の中の一演題、「耳鳴の分類とメカニズム,耳鳴疾患の臨床統計」を紹介します。
耳鳴とは,外部に音が存在していないのに音が知覚される現象です.耳鳴で受診する患者さんの多くには,難聴も生じているとされています.難聴は様々な検査で状態を評価できますが,耳鳴は患者さんの訴え以外に評価する方法がありません.また,耳鳴の有効な診断方法や治療方法も十分に確立されていません.
今回の研究では,耳鳴と難聴に関する文献から,耳鳴の分類やメカニズム,原因となる病気などをまとめました.その結果,耳鳴の原因となる病気は,①突発性難聴,②メニエール病,③外リンパ瘻,④騒音性難聴,⑤老人性難聴,の5つが主であること,病気ごとの耳鳴の発生頻度の数値が研究報告によって異なるなど,まだ不明な点が多いことがわかりました.
耳鼻科のある施設に勤務する言語聴覚士は,聴力検査や補聴器の調整など,難聴の患者さんを対象とした業務を行っています.上記の通り,耳鳴は難聴と一緒に生じやすいため,言語聴覚士は耳鳴についても正しく理解しておく必要があります.また,勤務する施設で何人の患者さんに耳鳴が発生したか集計することで,今後の耳鳴に関する研究に貢献できる可能性もありますね.
次回は内山ゼミの発表を紹介します!
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