先日のブログでふれた1年生の倫理関係の講義
この講義では、毎回、講義の最後に感想文を提出することが義務付けられている
同じテーマを2クール行うので、
私が後期に担当する学生数はゆうに300名を超える
1クールに6テーマ × 2クール ×300名 =3600枚
の感想文に目を通すわけだから、当然、その中から名言もうまれる
「医療で全ての病気は治せないし、
死なない人間をつくることもできない
私たちは医療に対して、何を求めているのだろうか」
私は、この学生の感想を前に、言葉を失った
私は教員としても、臨床家としても、この問いへの答えをもたない
このなさけない現実に泣きそうになった
以後、折にふれ、この学生の言葉を心の中で反芻する
そして、いつになっても何一つ答えることができない自分の愚かさに愕然とする
この学生からのことばは、医療技術職のわれわれに対してのことばとして、そのまま反転して読み替えることができる
「我々は全ての病気は治せないし、
死なない人間をつくることもできない
社会は我々に何を求めているのだろうか」 と
この名言を書いてくれた彼は、どんな医療技術者になるのだろう
この疑問を「問う立場」から、いつか、「問われる立場」になったとき、
彼はいったい何を語るのだろう
大人になった彼に会ってみたい
18歳にしてこの感性だ
きっと、彼は、この問いに答えられる立派な人間に成長するに違いない
そして、医療技術に携わるすべての者は
この問いをいついかなるときも忘れずに進み続けなければならないのだ、と改めて思う