今回は言語聴覚士と漫画のお話です.
世の中には,医師や看護師が主人公の漫画やドラマはたくさんありますが,本学科の学生が目指す言語聴覚士が主人公の作品はなかなかお目にかかれません.一般の方への言語聴覚士の知名度がまだ不十分なのだなと感じる日々です.
そのような中,珍しく言語聴覚士が主人公の漫画をみつけましたので紹介します!
医療マンガ大賞
医療マンガ大賞は、医療へ関心を向けてもらう機会の拡大を目的とした漫画の賞です.横浜市医療局が主催し,朝日新聞や日経メディカルなど大手メディアも協力しています.
医療マンガ大賞では,様々な医療従事者による体験エピソードを複数提示し,それを原案とした漫画を募集しています.
今回のエピソードの中には,言語聴覚士の視点から描かれたエピソードも含まれていました.
このエピソードを漫画化した作品は惜しくも大賞ではありませんでしたが,入賞作品としてこちらから読むことができます!
このエピソードでは,発音の障害を持つ患者さんが登場します.
「ことば」は単なるコミュニケーション手段にとどまらず,「ことば」を発する人の人格が宿るものであり,その「ことば」を支援する言語聴覚士の仕事の魅力を実感できるエピソードになっています.
言語聴覚士が行う発音の訓練
発音に障害がある患者さんの中には,このエピソードの患者さんのように,話す速さを調整するのが難しい方がおられます.
一音一音を明瞭に発音するのが難しいのなら,自分からゆっくり話そうと意識するものでは…?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません.
しかし自分自身が話す速度というものは,なかなか意識しにくいのです.
一般の方でも,無意識に早口になってしまうことや,他の人から指摘されて初めて早口だったことに気が付くことってありますよね?
エピソードの中で出てきたペーシングボードは,話すスピードを制御する訓練でよく用いられます.
患者さんの中には,訓練以外でもぺ-シングボードを常に持ち歩いて,日常会話で使用される方もおられます.
漫画のエピソードと本学科教員の関連
漫画に登場した患者さんは,発音の障害がありました.この障害は専門的には「発声発語障害」と言います.発声発語障害の評価や治療は,言語聴覚士の教育カリキュラムに含まれています.本学科では佐藤克郎教授,大石如香教授,田村俊暁助教が,発声発語障害の教育・研究に携わっています.
また,漫画に登場した言語聴覚士は,病院ではなく患者さんの家で訓練を行っていました.このように患者さんの自宅で訓練を行うことを「訪問リハビリテーション」と言います.訪問リハビリテーションに従事する言語聴覚士の数は年々増加しており,本学科でも伊藤さゆり助教が,訪問リハビリテーションで臨床活動を行っています.
一般の方が言語聴覚士の存在を知る一番のきっかけは,ご自身やお身内の方が言語聴覚士の評価や訓練を受けた時です.そのときに皆さんは一様に,「このような大事な仕事があるのを知らなかった,もっといろいろな人に知られてほしい」とおっしゃられます.
今回のマンガ大賞が,言語聴覚士のことを広く知っていただく新たなきっかけになるといいなと思います.
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