こんにちは。STkouhouです。
本学科の動向をお伝えしている本ブログですが、
今回は趣向を変えて、本の紹介をします。
紹介する本は、樋口直美著『誤作動する脳』(医学書院)。
レビー小体型認知症の症状を、患者さんの視点から詳細に描いています。
レビー小体型認知症とは認知症疾患の一つで、
幻視や認知機能の変動、パーキンソン症候を特徴とします。
本学科の学生が目指す言語聴覚士は、
臨床の現場でレビー小体型認知症の方の評価や支援に携わる場合があります。
レビー小体型認知症の症状は、たくさんの本や論文に記載されていますので、
容易に調べることができます。
しかしその多くは、医療者側の視点で記載されているため、
患者さんが実際に症状を呈している最中、どのように感じているのか?
という点はつかみにくいものです。
この本は患者さんの視点から、
症状を呈している時に実際にどのような感じ方をしているか、
詳しく、時に生々しいほどに描写されています。
著者の樋口氏は、幻視を見てしまう状況を「脳が誤作動した」と表現しています。
樋口氏の文章では、確かに細部までみえるようなくっきりとした幻視を見ても、
それがずっと持続するわけでなく、ふっと消えてしまうと語っています。
まさに誤作動と表現するのがふさわしい現象です。
言語聴覚士が関わる場面では、患者さんの認知機能を評価することがあります。
認知機能を評価する場合は、こちらの指示通りに字や絵を書いてもらったり、
いくつかの言葉をおぼえてもらったりと、
見方によっては患者さんを試すようなことを要求します。
そのため評価を行う前には、患者さんの信頼を十分得ていることが必要になります。
患者さんの信頼を得るためには、
まずは患者さんの気持ちによりそうことが求められます。
この本は、患者さんの心情を理解するのに、非常に参考になる一冊です。
樋口氏は、以前にもご自身の疾患について本を出されてます。
『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』(ブックマン社)
こちらは日記形式で、ご自身の症状について語られています。
2冊合わせてお読みいただくと、この疾患への理解がより深まると思います。
本学科には、レビー小体型認知症に関する研究を行っている教員が複数在籍します。
今村徹教授
大石如香准教授
内山信講師
レビー小体型認知症に関心のある方はぜひ、
ぜひ本学への進学をご検討ください!!
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